ロマンチスト
夜景の見えるホテルの高層階。
男は女の肩に腕をかけ、耳元でつぶやいた。
「綺麗だね」
女はうっとりとした表情で身をくねらせ、それに答えた。
男は胸の高鳴りを感じた。
「月と星と僕らの下に広がる無数の輝き。今夜は君と僕、二人のものなんだよ」
女は「まあ」とつぶやいて、恍惚とした表情を浮かべた。
男もまた自分の言葉に酔いしれた。
「僕は幸せだ。今僕の目の前に、世界で最も美しいものがすべてあるのだから」
二人は自分たちが完全なる「美」の中にあることを感じた。
悠久の美の幻影たちを追い求め、恐ろしき美が生まれそうな夜だった。
そして二人は身を寄せ合って、呪われた人間存在の罪を確かめ合った。
つまりセックスしてクソして寝たのだ。
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