偽りのない味
「シェフ、このステーキ、おいしいよ。」
「ありがとうございます。そのお肉は、牧場の方が手塩にかけて育てた牛を今朝絞め殺し、その遺体から採取したフィレを焼いたものでございます。」
「あ…。あ、魚もおいしいね。」
「はい。その魚はつい先ほどまで生きていたものを厨房で刺殺し、ソテーしたものでございます。死にたてですので新鮮ですよ。」
「う…。あ、この鳥も…」
「この鳥はうちの庭でひよこのころから育てたピヨちゃんを、お客様からご注文を受けてから早急に締めたものでございます。ピヨちゃんはよく走り回る子だったので、ピヨちゃんのモモ肉、さぞ美味しかったことにございましょう。う、うぅ…。」
「あーそう…。あ、君。このポタージュスープも…。」
「角のコンビニで買ってきたものでございます。」
「うむ。どおりでほっとする味わい。」
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