×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

ちと反ショートショート−どこからか飛んできてメニューが表示されていない人はここをクリック

配給



田村と中村と佐々木と広田が隊列をなして配給を運んできた。

我々はその前に食器を持って並び、自分の配給分が配られるのを待つ。
やつらはぞんざいに、我々に食事を配った。

システム…コンピューターを使った情報処理機構。
この集団は自由意志を持った人間たちによって形成されているはずだ。それにもかかわらず、不思議とこの言葉がこの場所には相応しく思われるのだった。

我々の青春は戦いの中に消費されていく。

時々、そんな戦いの暮らしに耐え切れず、家へ帰りたいと泣き出すものさえいた。
しかしシステムに組み込まれたこの場所において、それは空しい願望でしかなかった。

日々の戦いに摩滅され、我々は性的なものを欲しなかった。
仮にその欲を見せてしまったとしたら、それはこの組織の中での重罪を意味し、多くの場合さらし者にされるのだった。
また、睡眠も許されなかった。

性的なものも、睡眠さえも許されないここでの生活の中で、配給は、つまり食べるという行為は、我々の唯一の慰みとなっていた。



ところがそんなあるとき、配給を受け取りに行ったはずの田村が泣きながら帰ってきた。
何故かやつの手には配給が、握られていなかった。

同様に配給班の全員が涙を流していた。

動揺する我々の間に緊張した空気が流れる。
めいめいの間に「いったい何が」とか「まさか」といった言葉が浮かんでは消えていった。

その中、嗚咽に咽びながら、班長の中村が説明を加えた。



「せんせー、ひっく、たむらくんがぁ、ふざけていておかずを全部こぼしましたぁ」



田村め、やりやがったな。



罪を憎んで人を憎まず、という教師の有無を言わせぬ言葉に事態は一応の収束を得、我々はとぼとぼと昼休みの「運動場覇権争い」へと向かうのだった。



次の話を読む