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善と悪



突如男が大通りでこう叫び始めた。

「今更祈って何になる。善行を積んでも無駄ではないか。この世にもはや救いの手立てなし。あの世にもはや救いの手なし。」

辺りは狂人を見る目をした者で埋め尽くされ、あるものは嘲笑、またあるものは嫌味な表情をしていた。

「この世にもはや救いの手立てなし。あの世にもはや救いの手なし。」

善き行いをするものも、祈りを奉げるものもこれには怒り、彼に石をぶつけ唾を吐きかけた。

「この世にもはや救いの手立てなし。あの世にもはや救いの手なし。」

しばらくすると誰かが通報したのか、彼は警察に取り押さえられ何処かへと連れて行かれてしまった。

男の右手には十字架が、左手には聖書が握られていた。



その様子を見んと集った群衆の前に、別の男が飛び出して、そして叫んだ。

「さあ皆さん祈りなさい。いかれてしまったあの男のためにも祈りましょう。そして善き行いをするのです。天におられる我らの父は必ずや我々に救いの手を差し伸べてくださることだろう。」

この男の言葉に痛く感銘を受けたといった表情の群衆は、拍手喝采、彼を喚起に包んだのだった。



この男の右手には金貨が、左手にはコンドームが握られていた。



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