ちと反ショートショート−どこからか飛んできてメニューが表示されていない人はここをクリック

現代版桃太郎



今は今、ある住宅街におじいさんとおばあさんが住んでおるそうな。

おじいさんは居間で暇つぶし、おばあさんは風呂場で洗濯して暮らしておった。



そんなある日、おばあさんが洗濯機を回していると、居間からおじいさんの呼ぶ声が聞こえてきた。



「ばあさん、ばあさん。」

「どうしたんだい?おじいさん。」

「面白いニュースがやっているぞ。こっちに来て見んか?」

「あらあら、まあまあ、何があっているんだい?」

「まあ見んか。」





「・・・・で、本日未明、川の中を流れる大きな桃のようなものが発見されました。発見者によると、この物体はヘドロ中を見え隠れしながら海の方へ静かに流されていった、とのことです。爆発物の可能性もあるとのことで地元研究者の間でこの物質の解明が急がれている模様・・・・。」





「おやまぁ・・・。本当に変なことが起きる時代になったねぇ・・・。」

「ほんにのう・・・。物騒な時代じゃ・・・。」 





その数ヵ月後、げっそり痩せた青年が「鬼退治だ!」と叫びながら浅草寺入り口付近で暴れまわる、という恐ろしい事件が起こったらしいが、物騒な時代だと騒がれるだけで、誰一人としてこの二つの事件の関連性に気づく者はなかったそうな・・・ 

めでたしめでたし     


次の話を読む