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生臭い



運良く一軒家をかなりの安価で借りることが出来た。

外観はまあまあといった感じだが、内装はとても綺麗で、この値段で借りれるなんて正直驚きが隠せない。



しかし一つだけケチをつけるなら、どうも生臭い匂いがするということだ。

普通匂いなんていうものは、一日もすれば無くなるものだが、引っ越してきてからずっと続くと、さすがに気になって仕方が無い。

家賃が安かったし・・・もしかして何かいわく付きの物件なのだろうか・・・



そんなある日下水工の男が来た。

どうやらこの近所で下水管に穴があいているのが発見されたということだ。



なんだそういうことか。どうりで生臭かったわけだ。

これで心おきなく生活がエンジョイできるってもんだ。



人間と言うのは不思議なもので、いちど気になるとそれに縛られ悪い方へ悪い方へと想像力を膨らませるが、その原因がわかると一転本当にどうでもよくなってしまい気にもかけなくなる。



彼はこの借家から立ち退くまでの6年間、何も不備を感じることはなかった。

もちろん、自分が寝ているその真下で、前の住人が眠っている・・・ということにも・・・



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