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大発明



「博士!すごい物を発明しました!」

彼女が言った。しかし

「すまんが今忙しいんだ。また今度にしてくれ。」



と、博士と呼ばれる男は軽くあしらった。



近年の女性差別撤回運動の結果、全体として見て女性に対する偏見はだいぶ減ってきたようである。

しかしこういった所には未だ根強く残っているようで、この博士も胸の内では「女が発明したものなんて・・・」と判断していた。



もちろん彼女もそのことは悟っていた。

「やっぱりか・・・仕方ない・・・」



悲しい響きの言葉である。



彼女が私生活を犠牲にしてまで研究し、開発した大発明。それがこのような偏見のために認められなかったのだ。



しかし彼女はそれほど気にしてない様子だ。



「・・・さて、行くか」



そう呟くと、彼女はたった今完成させたばかりの乗り物に乗り込み、女性の地位が認められる時代を求め旅立っていった。



この出来事があってすでに何十年もたつが未だにタイムマシン完成の公表はない。



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