⑥お釈迦様の手の平で

ちと反珍道中（旅行記）－どこからか飛んできてメニューが表示されていない人はここをクリック

⑥お釈迦様の手の平で

７月４日　ＡＭ１１：３０

空港でのなんとも素敵な休憩を送り、そろそろ行きますかといった空気。

さあ行こう！！と勇むron氏とＫさん。と、その2人の出足を挫かんと言わんばかりにａｋｋｋｙのヤツがちんたら売店に行っている・・・

この野郎！！売店には休憩時間に行っとけと小学・・・（以下省略）・・・

あ、でも俺も行っとこうということで、先生を怒らせながらも売店へ向かう。

さてジュースでも買いますかと売店内をうろついていると・・・

「お客さんやけてますね～。」

とどこかで聞いたような言葉・・・・おや？

「いやあ。今旅の途中でして北九州から歩いてきたんですよ。」

と返すは、やはりこの男、ａｋｋｋｙ・・・

店員　「ええ！！？？き・・・北九州！！？？」

ａｋｋｋｙ　「ええ。それで今からまた歩いて大宰府に」

店員　「だ・・・大宰府ですか！！？？うわ～すごいですね～。頑張ってくださいね☆」

あんた・・・いつぞやと全く同じ会話してないかい？

本当にあまりにもおいしい。あんた、その日焼けはちとしたナンパグッズとして使えるのではないかい？

ああ・・・リビドー・・・

しかし私とて古賀からここまで歩いた勇者！さあ売店のおばちゃんよ！！俺にも話し掛けろ！！！躊躇するこたないさ！さあ！！！

と願いつつジュースを買いにレジへ行くも、あっさりと素通り・・・・

ま・・・いいや・・・・どうせ俺は真っ白ですよ

出発を前に何気にモバイル天気予報を携帯にてチェック・・・と・・・

台風は熱帯性低気圧へと変わり、凄い暴風雨となるでしょう。

家でじっとしていた方が身のためです。

ほう・・・近頃の天気予報はこれほどにフランクなスタイルを取っているのだな。家でじっとしていた方が身のためとはなかなか気の利いた言い回しをしやがる・・・

なんて感心している場合ではない。

前日から台風の懸念はあったのだが、いよいよ天候との戦いの火蓋は切って落とされようとしているのである。

兎にも角にも暴風雨になる前に、少しでも進んでおかねばなるまい。

ＡＭ１１：４０

ということで美しきフライトアテンダントを名残惜しく感じながらもいよいよ出発する。

これまで性的衝動が人間を突き動かすという話を何度かしてきたが、この頃の我々を突き動かしていたのは性欲ではなく、明らかに食欲だと言えよう。

あれは確か空港付近に来た辺りからだと思うが、突如として「たこ焼き片手にソフトクリームを食いたい」という衝動に駆られたのである。

これは恐らく政府の陰謀か、もしくは地球外知的生命体からの命令があったのではないかと今でも信じているのだが、あまりにも根拠がなく、あまりにも抑えがたき衝動であった。

しかし考えてもみると、たこ焼き屋とソフトクリームは２つで一つ。つまりたこ焼き屋でソフトクリームが売られている可能性は高く、たこ焼きあるところにソフトクリームあり、と言われるほどである。

つまるところこの欲求はたこ焼き屋が見つかった時点で満たされるという実に都合のいいものだったのである。

さらに都合のいいことに、たこ焼き屋とは概して、都会過ぎず田舎過ぎぬ所にあるもので、その条件を満たしていたのがまさにこの空港付近なのである。

こりゃあ空港出たらすぐにこの欲求は満たされそうだなあ。

と・・・意気揚揚と出発したのだが・・・結論から言うと、我々がたこ焼きを食すのはずっとずっと先の話になる・・・

空港を出発して数十分。

この間は皆かなりテンションが上がっていたと記憶している。

何せ我々の歩くすぐ横で、飛行機が飛び立ち、また着陸するのである。

その繰り広げられるエキサイティングな光景を前に、飛行機マニアでなくても、男なら誰でも興奮せざるを得ないのではないだろうか。

そのテンションの上がりっっぷりは会話として現れている。

Ｋ　「ああ！！あれたこ焼き屋じゃあないですかね？？！！」

ron　「ええ？？！！マジで？？！！」

Ｋ　「ちょっと先に見てきますね！！あ～～なんだ・・・ラーメン屋だ・・・」

ron　「あ～残念・・・」

Ｋ　「でもあれっすよね。ラーメン屋とたこ焼き屋の雰囲気って紙一重のところありますよね？」

ron　「あ～わかるわかる」

・・・・

ａｋｋｋｙ　「今までずっと普通に歩くようの筋肉を酷使してたから、逆に後ろ歩きすると楽かも知れない。」

とのたまい突如として後ろ歩きを始めるａｋｋｋｙ

Ｋ　「マジで？おれもやってみよう～ほう・・・」

ron　「どれどれ俺も・・・確かにねえ・・・」

・・・・スタスタスタ・・スタスタスタ・・・・

ron　「ああ！！この歩調のリズムは！！

Ｋ　「？？！！」

ron　「QueenのAnother One Bites the Dustと同じリズムだ！！」

ａｋｋｋｙ　「・・・？？」

Ｋ　「・・・・ほ・・・・本当だ・・・」

・・・・

この２人が妙に共鳴し合う様子を端から見ていたａｋｋｋｙは、後日こう語った。

「・・・何言ってるんだろこの人たち・・・と思ったものさ・・・」

ごもっともですな。

そんなテンション高き男どもを尻目に飛行機は飛び立つ・・・

ドゥウィィィィィィィィィィィィン！！！！

たこ焼き屋～～～～！！！

ドゥウィィィィィィィィィィィィン！！！！

後ろ歩きだよ～～～！！！

ドゥウィィィィィィィィィィィィン！！！！

また離陸するぞ～

ドゥウィィィィィィィィィィィィン！！！！

こ・・今度は着陸だぞぉ・・・

ドゥウィィィィィィィィィィィィン！！！！

・・・はぁはぁ・・・・

ドゥウィィィィィィィィィィィィン！！！！

ぜぇぜぇ・・・

ドゥウィィィィィィィィィィィィン！！！！

ＰＭ０：１５

私はふと西遊記のワンシーンを思い出していた。

孫悟空がどれほど粋がり、自分がどれほど大きな存在であると思っていても、所詮はちっぽけで、お釈迦様の手のひらから抜け出すことすらできない、というあのシーンである。

歩き始めて随分経つが、一向に空港の滑走路の果ては見えない・・・

普段は気づかぬものだが、こうして歩いてみると、空港の敷地とは想像を絶する広さである。

そんな空港の横を歩きながら、気づけば、ああちっぽけな私は、今釈迦の手の平から抜け出すことも出来ずにいるのだなあ・・・と考えていた・・・

しかし挫けてはいられない。

我々の行く手には、経典なるたこ焼き、天竺たる大宰府が待っているのである。

さあおっしょさん！いきやしょう！きっと天竺はもうすぐでございあさぁ！！

～～～こうして三蔵とその一行の旅は続くのだが、それはまた次回のお話・・・～～～

BGM：Holly & Bright／ゴダイゴ

空港の近くにて発見せり
これほど気合の入った標識が他にあろうか・・・

⑦大野城未だ遠かりき