③故郷忘じがたく候

ちと反珍道中（旅行記）－どこからか飛んできてメニューが表示されていない人はここをクリック

③故郷忘じがたく候

７月４日　ＡＭ７：００

いよいよ出発のときがきた。

とりあえずネットカフェの下にあるコンビニで朝食を購入することに。いらっしゃいませ、と営業スマイルの店員二人が迎えてくれる。

私はから揚げ棒とチキンカツパンというグッドチョイスをし、レジへと向かった。するとやさおとこの店員が「いらっしゃいませ～～」と腹に力のない声で私を迎える。まるっきりセオリー通りの接客。

「暖めはいかがなさいますか～？」なよなよ・・・「袋はご一緒でよろしいですか～？」なよなよ・・・とあらゆる言葉がなよなよしている。

貴様それでも・・・それでもロッカーか！！

なんて思っていたら隣のレジでａｋｋｋｙがウィダーインゼリーを購入している。・・・と、なんと

「お客さんやけてますね～。」

と女性店員に話し掛けられるａｋｋｋｙ。

羨ましいじゃねえか。くそぉａｋｋｋｙのくせに！！くそお・・・

ａｋｋｋｙ　「いやあ。今旅の途中でして北九州から歩いてきたんですよ。」

店員　「ええ！！？？き・・・北九州！！？？」

ａｋｋｋｙ　「ええ。それで今からまた歩いて大宰府に」

店員　「だ・・・大宰府ですか！！？？うわ～すごいですね～。頑張ってくださいね☆」

方ややさ男のなよなよ店員にいらついているというのに、なーにが「頑張ってくださいね☆」だ。くっそ～羨ましい・・・妬ましい・・・

貴様ぁぁぁぁ・・・・貴様ああぁぁぁぁぁ・・・・それでもロッカーかーーー！！！

ただ違うぞ、ａｋｋｋｙよ。

貴様は今モテているわけじゃないからな。断じてだ。断じて。

貴様はモテているわけではなく、初日で見事に焼けた、その真っ赤な肌が注目されてるだけだからな。

つまりお前はモテているわけじゃないんだ。分かったか？あ？

だから、つまりその、あれなわけだよムフフフフ・・・・・・・くっそぉぉぉ・・・！！！！

という一連の出来事を踏んだ後いよいよ、我々は歩き始めた。

なんにせよようやくＫさんも本当の意味で仲間入り。頑張ります！！

しかも私にとって最初の通過点となる場所が、なんと私の生まれ育った町。香椎なのである。こりゃあ嫌が応にもテンション上がるなあ・・・

ちなみにご存知の方もおられるかも知れぬが、この香椎は、かの松本清張の推理小説『点と線』の舞台となった町である。トリックなんかは、町で生まれ育ったものとしては、なんやそれなもので、なかなか面白いんだと思う。興味がおありの方は一度読んでみるといい。ちなみに私は文学が大嫌いなので、一度も読んだことはないのはご愛嬌。

ＡＭ７：１５

さて、話を戻そうか。

歩き始めて間もなく、突如吠えたのはａｋｋｋｙだったと記憶している。

何事かと思えばなんと以下の標識が・・・

２人にとってはようやく、
Ｋさんにとってはあっさりと福岡市突入

私まだ・・・15分しか歩いてないんですけど・・・

しかし、北九州からのらりくらりと歩きつづけた２人にとって、それは紛れもなく待ちに待った瞬間。

おめでとう！祝福岡市突入！

さても男3人は練り歩く。話題はどんなもんだったろうか・・・ああ初日の話題だったかな・・・。

なんでも『出発直後は政治経済について暑く議論した』だとか『トンネルでは声高らかにLivin' on prayerを歌った』とか・・・。う～んこの二人・・・確実に危ない人たちだよなあ・・・。

ＡＭ８：００

こやつらは変人かもしれない・・・ということに気づきながら歩きつづけること40分。行く手にこ洒落た建物が見える・・・

それが、かの有名な九州産業大学である。（全国的に有名か否かは存じません）

この建物を見ると、なぜかふつふつと嫉妬心が込み上げる。

この道に、この店に、この駅に、このコンビニに、九産大生の青春があるのだと思うと、とてつもない哀愁に襲われる。

そこを歩く君！君は恋しているか！！青年よ！！君は恋をしているのか！！？？

恋をしなさい！！君たちは恋をするべきだ！！

２人のフリーターと落ちこぼれの大学4年生は、振り切ることの出来ぬ寂寥の念を胸にとぼとぼ歩く。

その横を九産大生と思しき女性が颯爽と歩く。

とぼとぼ・・・

すたすた・・・

とぼとぼ・・・

すたすた・・・

九産大は緑に囲まれ、変人３人にはあまりに美しく見えた。

この九産大付近にあるコンビニで『ある旅の目的』を達成するがために電池を購入。

これであとは何の不安もなく、最初の通過ポイントである香椎を目指すのみである。

それから進むこと15分程だろうか。

Ｋさんにとって非常に懐かしい場所を通る。

Ｋさんが通った幼稚園
昔は大きく見えたのに、結構こじんまりしていた

４歳、５歳のころにお世話になった出身の幼稚園である。

そういえば当時のＫさんは変人の限りを尽くしていたと聞く。

なんでも、みんながお遊戯として教室ではさみチョキチョキしているころ、一人表で逆上がりの練習をしたり、雨が降り始めて皆がうわ～と部屋に戻っている中、一人スキップしながら雨の中へ飛び出していったり・・・

ととにかく集団行動が出来ず、少し（かなりか？）ずれた子だったようだ。

他のテキストでも言ったかもしれないが、みつごの魂百までとは良く言ったものである。

そんな話を幼稚園通過ついでにしていると、ronさんが妙に共感を示す。

彼の幼児期もまた壮絶。

なんでも「言動があまりに変だ」という理由で精神病院へ連れて行かれ、そこで検査として紙芝居を読まされた結果「この子は正常どころかちょっとした天才だ」と結論付けられた、というのである。

うわ～それは凄すぎるぜronさん！！

しかしこれほど幼児期に変だった２人であるが、結局そこそこ中流の大学で出会っているわけだからなあ・・・普通になったもんだなあ、と妙にホノボノしてしまう。

ところで当時から普通の少年だったａｋｋｋｙ！元気かい？

でまあ、幼稚園まで来たということは・・・そうもうすぐ我故郷、香椎に着くわけである。

ＡＭ８：３０

よやく香椎に到着！！

Ｋさんがかつて住んでいた住宅
しかし辺りの景色が一変してるじゃないか・・・

そして何を言うわけでもなく準備を始める３人。

なにやら打ち合わせを開始する
AD ronさん　ディレクターａｋｋｋｙ

そう、この時『ある旅の目的』はひとまず達成されようとしていたのである。

さきほど購入した電池をronさん持参の録音機材、ＭＴＲ（まるで　鳥のようで　アール）に挿入。

そして目的は実行へと移された。

香椎の町の変貌振りに落胆するＫさん
※音量に注意

まさに狂気。香椎って町の名前・・・
ronさん怖すぎっすよ
※音量に注意

「香椎の町がかわっちまった・・・かなしい

「香椎！！！おっかしい！！！」

あぁ・・・ronさん・・・俺たちは本当に普通になったのだろうか・・・

普通の大学で、普通の大学生ぶった生活を送った俺たちは、本当に普通の人間なんだろうか・・・

こうやって男達の旅は続く。

ちなみに久々の故郷。知り合いと出会ったりしやしないだろうかと、胸ときめかせたＫさんでしたが、さすがに日曜朝８時から徘徊しているやつなど一人もいませんでしたとさ。

④この手を伸ばせば