⑦大野城未だ遠かりき

ちと反珍道中（旅行記）－どこからか飛んできてメニューが表示されていない人はここをクリック

⑦大野城未だ遠かりき

７月４日　ＡＭ０：１５

一向に見えぬ空港の果てを目指す我々の、専らの会話は「アニメソング」についてであった。

といっても北斗の拳や聖闘士聖矢など、所謂メジャーどころの話題ではない。

ron　「『ちとした反逆罪じゃの』（当サイト）、見ましたよ！『けいの番組たいしょう』いいっすよね！！」

Ｋ　「そうですか、ありがとうございます！！」

ron 　「特に『チンプイ』の主題歌のところがすげぇショッキングだったっすね！！」

Ｋ　「あれはエンディング曲が何気に名曲ですからね！実は歌ってるの林原めぐみ」

ron　「マジで？？！！」

ａｋｋｋｙ　「・・・・」

Ｋ　「俺としては『スプーンおばさん』もオススメっすよ！！」

ron　「うわあ！スプーンおばさん！懐かしい！！」

Ｋ　「おお！！ご存知とは！！」

ron　「知ってますよ！あ～でもどんな曲かまでは思い出せない！」

Ｋ　「ゆ～めいろの～ちぃ～い～さな～♪（となぜか低いトーンで歌う）」

ron　「あ～～！！！！なんか知ってる！！！」

ａｋｋｋｙ　「・・・・」

Ｋ　「あと『YAWARA!!』のエンディングも最高！！」

ron　「あ～名曲っすよね～！！君がいた！」

ａｋｋｋｙ　「・・・・」

と明らかにマニアックなアニメの主題歌についてアツく語り合う２人。

その後ａｋｋｋｙは、何故かronさんから「俺たちは別にマニアックな訳じゃねえんだよ！ただ無駄なことをよく覚えてるだけなんだよ！！」と怒鳴られていた。

とひとしきりアツきオタクトークを繰り広げた後、ようやく空港敷地の果てを見る。

お釈迦様の手の平の向こう側では・・・人々が集い・・・・楽しそうに・・・草野球をしていた・・・・

ＰＭ０：２０　月隈

空港の呪縛から逃れ、まず最初に着いたのがこの『月隈』という場所である。

月隈への到着は我々にとって大きな意味を持っていた。

北九州からこれまで重宝されてきた地図。この地図では福岡県を４０分割し、その各地域一帯ごと、各ページに細かく掲載してある。

先発隊２人は、その内の８区分をこれまで渡り歩いてきた。

そしていよいよこの月隈に到着することによって、９区分目、つまり目的地大宰府が現在位置と同ページ上にその姿を現すのである。

もちろん先はまだまだ長い。しかしこれまでの道程を見よ。

我々はそれだけの道のりを歩んできたのだ。

だからこそ、あえて言おう。

あと一踏ん張りだ。

ＰＭ０：３０

月隈にて弱冠の休息。さすがに皆疲労困憊・・・

ようやく空港の敷地を離れる
さすがに疲れきった２人

一方俺は元気・・・だ・・・よね？
ってあんた思う様疲れてるやない・・・

しかし残念なことに疲れきった体を、長きに渡り休ませる余裕は我々にはなかった。

雲行きが徐々に怪しくなっていく。このままでは雨の中を歩くという最悪のシチュエーションになってしまうではないか。

みんな頑張ろう！！頑張って歩こう！もうすぐ！もうすぐじゃないか！！

叉ズレをかばいながらぎこちなく歩くronさん。

ただでさえ辛き道のりがあったろうに・・・その上、尻に感じるあまりにも不愉快極まりない叉ズレ・・・そのためにどれほど精神的なダメージを負っているだろうか・・・

朝から足を痛め、以来足を引きずりながら歩きつづけたａｋｋｋｙ。

痛い痛いとうめきながらも、しかしそれでも歩きつづける。軟弱な体つきからは想像も出来ないその心の打たれづよさ・・・この旅において何度諦めようという言葉を飲み込んできたのだろうか・・・

私とて普通では考えられない距離を歩いてきた。

途中参加とは言え、車でもなかなか行かない距離を、この2人の勇者と共に歩きつづけてきたのだ。

ふとした瞬間に～ふふふふんふふ～んふふ～ん

ふふふふふん～ふん～ふふ～ん～ふふふふふふん～ふふ～ん

今宵は～私と～一緒に～ふふふふふ～ん

ふふふ～んそんな～貴方がす～きよ～忘れ～ふ～ふふ～ん

♪負けないで～も～う～少し～ゴールは近づいてる～♪

ＢＧＭ：ＺＡＲＤ／負けないで

ＰＭ０：５０

右手に高速が見え始める。

ronさんによると、恐らくもう時期大野城市に入るとのこと。

この辺りから、はらりはらりと雨が降り始める。

とにかく急がねば・・・という強迫観念に刈られる。

雨ははらはらと降りつづけたが、誰も傘を開こうとはしなかった。傘をさす元気もなかったというのが正確な表現か・・・いやもしかすると３人いるのになぜか2本しかない傘を、誰も自らのために開く気にはならなかったのかもしれない。

恐らくはそのような精神状態だったのだ。

そして傘よろしく、口も開かなくなっていた。

そういえば月隈を出てから長い事ろくに会話らしい会話もしてないような気がする。

久々に口を開くきっかけとなったのが、『大野城インター』なる標識の発見だった。

「おお！！大野城インター！！」

「きたーーーー！！！」

そしてその喜びを伝えるべく、雨降りしきる中後続隊掲示板にこう書き込む。

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大野城

2004年7月4日 12:50:06 Ｋ

大野城市突入
雨が降りはじめました
でもなぜかだれも傘を指しません
頭の中ではザード負けないでが無限ループ
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しかし残念。

実は時、我々はまだ福岡市内にいたのである。

どういうことかというと、大野城市とは平たく言えばタツノオトシゴのような形をしている。我々が今右手に見ている高速が、言わばそのクチバシの部分の境にあたる。

つまり高速の向こうが大野城で、こっちは見事に福岡市。

全くのぬか喜びであり、お陰でＫさんは謎の二重「大野城市突入」宣言を残すこととなるのであった。

ちなみにそのことにようやく私が気づくのは、これから２０分もあとの話である。

番組を佳境に至らしめるにはまだまだ早い。

大野城未だ遠かりき　されど心に「負けないで」

お後が宜しいようで

⑧試練の大野城