⑧試練の大野城

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⑧試練の大野城

７月４日　ＰＭ１：１０

大野城市

我々はこの、ゴール１つ手前の市で最大の試練を受けることとなった。

今度こそ大野城市突入
空模様が・・・

これまで降ってはやみを繰り返しつつも均衡を保ってきた雨が、とうとう本腰を入れ始めたのである。傘をさす元気も残されていない我々にとって、これはかなり痛い。お陰で思い足取りがさらに重くなってしまった。

それに加え、この町並みが淡々としていた、というのも辛さに拍車をかけたと言える。

例えば田畑があったり、または山野や河川があれば、足取りとは自然と軽くなるものではないだろうか。風景とは視覚的娯楽の一つであり、それに気を向かわせるというのは、一時的にでも辛さを紛らわせる効果を持つと思う。

しかし、大野城で我々が歩いたコースは、その一時的開放すらも許さなかった。というのは、そこが、まあ言うなれば商店街のような規模の道の広さで、その両側に雨天通日閉店と思しき商店がひたすらに延々と続くというような所だったのである。

もちろんこの町の人たちにとって、そのあり様がベストな状態であって、何不自由ないのだろうけど、我々のような特殊なカスタマーにとって、なんちゅうか、そう、あれだ、いわゆる、「ちょーありえなくなーい？」だったのである。

実を言うと、今回のテキストを書きながらも私は「ありえなーい」と若さ溢れる言葉を呟いている。

淡々とした町並みを思い浮かべるも、これといって思い出すことがないのである。

例えば会話であったり、何か出来事であったり・・・

そういうものが少しでも記憶にあればテキスト化に当たりそれといって難儀はないのだが・・・・

そんなこんなと困り果て、はや１月以上もこの更新を怠ってしまった。

これではいかん！ということで、すかさずron氏に助け舟を求める。やはり旅の友。頼るべきは彼しかいない。

Ｋ　「大野城辺りのことって覚えてます？」

ron　「ええ、それなりには」

Ｋ　「どんな会話しましたっけ？」

ron　「会話っすか・・・特にしてないっすよ」

・・・・

ったくronさんってのは使えねえ奴だなあ・・・・

ってこら！！（ジョークジョーク・・・アメリカンジョークですからね）

それにしても、変だ。おかしい。

おぼろげな記憶ではあるが、私は確かに何かを喋りながらあの町並を歩いた気がするのである。

『特にしてない』ことはないはずなのである。

こは何たるや・・・

ron　「あ、Ｋさんは結構喋ってましたよ」

とron氏。やはり頼るべきは旅の友。私は彼を信じていた。

Ｋ　「ほう、例えばどんなことを？」

ron　「いやあ、例えばと言うか・・・」

Ｋ　「ええ・・・」

ron　「ただひたすらたこ焼き食いてぇ・・・と・・・」

・・・・

ほんっとron（ひゃーひゃー！！）使（うひょーうひょー）だなあ・・・・

何はともあれ・・・結局、あの頃我々の間に会話という会話はなされてなかったようである。

ではかすかに残る『何かを話していた』という記憶は何なのだろうか。

ちょっと気だるい朝。長年連れ添った女房と顔を会わせる。ふと外を見ると今日は快晴。申し分の無い散歩日より。「散歩にでも行くか」そう貴方は言おうとするが、しかし言葉にはしない。何故なら女房が今同じことを考えている、ということが分かり、あえて口にするのも気だるいからである。

あの時、私にはこれと似たケースの現象が起きていたのではないだろうか、と私は推測する。

すなわち、「雨が酷い」や「後どれくらいで着くか」などという、聞かずとも返答の分かりきった質問を、わざわざ口に出してまで言わないが、しっかりと頭の中でその会話をシミュレートし、一人で完結する。

根暗少年がクラスのアイドルとよく行うという、例の『脳内会話』である。

この脳内会話によって何かを納得した私は、さらにその脳内会話を、現実に行った、と錯覚し、さらにそう信じたのである。

となるとかなり危ない根暗男であるが、確かにそういう人格ゆえあながち否定できない。

であるからこそ、この『何かを話した記憶』の真実は恐らくこういうことなのではないだろうかと思うのだ。

さて、話題がわき道に逸れて久しいが、そろそろ元の話に戻そうと思う。しかし上の件もあって、視覚的・言語的情報が無く、書くことは実に少ない。それ故後は事実だけを完結に述べ、閉ざさせていただく。

ＰＭ　１：４０

未だに大野城市にいるのだが、店の看板にて『大宰府』という文字をこの旅初めて確認し、興奮する。

未だ大宰府には届かずも
初めてこの文字を見る

いよいよ雨が洒落にならなくなり郵便局で一休憩。

強雨にやられ郵便局に一時避難
天候は最悪

確かこのあたりで『ギョウザバーガー』なる気になるお店を発見。しかしこの時私はすきっ腹にたこ焼きをぶち込むという願望に捕らわれていたためスルー。

このギョウザバーガーは後日TVで寄寓にも取材されていた。

ようは揚げギョウザのでっかいやつで、お客さんから「こんなでっかいのは揚げギョウザとは言わん」とクレームがつきこのような名前になったようだ。

ＰＭ　２：００

大宰府市に突入したと思われる。が・・・定かではない。

ようやく大野城と
大宰府の境に到着

このように、大野城市とは、歩いていた我々、そしてテキスト化を図る私にとって、最大の試練であったと言えるだろう。

『試練の町、大野城』

大野城市長さん。町のキャッチフレーズに、これ、如何でしょうか。

ちなみにいい加減な扱いをしておるように見えるかもしれませんが、これだけははっきりと明言しておきたい。

Ｋさんは大野城市がだい好きです！！

⑨科学と行脚と大宰府