④この手を伸ばせば・・・

ちと反珍道中（旅行記）－どこからか飛んできてメニューが表示されていない人はここをクリック

④この手を伸ばせば・・・

７月４日　ＡＭ９：００

香椎から歩くこと３０分。私の実家がある名島に到着した。

ここまで知らなかったのだが、現在歩いているのが至「博多」の３号線である。しかし、我々はどこかで至「福岡空港」の３号線に移らなければならないとのこと。

その至「福岡空港」の３号線へ現在地から行くその通過点に、また仕組んだかのように見事実家があるのである。

てなわけで「せっかくだからちょっと実家寄らせてもらってもいいですかね？」と提案してみたところ、二人とも快諾。「いいよ。寄ってこうや～」といったノリ。

なんと優しいお心遣い・・・

山を切り開いた土地に立てられた集合住宅の頂上に位置する、心臓破りの坂と地元民でも嫌がるほどの坂を越えたさらにその上にある、そんな私の実家に寄ってもいいというのか。

ありがたやありがたや・・・

え？

言ってなかったっけ？

あっちゃー

あっっちゃー

言い忘れちゃったか～

いや～本当にもう・・・

マジですまん。

心臓破りの坂の麓に立った時の二人の顔は印象的だった。

まさかこの坂を登るなんてこたぁないよな？といった不安げな表情。

私は、ご名答と心で呟く。

心臓破りの坂の中腹で、さすがにそろそろ着くだろう、と切願する表情の二人。

甘いねと心で呟くＫさん。

心臓破りを通過した後の、おまけの坂を見たときの絶望する二人の表情。

四の五の言わんとさっさと上れや、と心の中で呟く私・・・

このような苦行を乗り越えようやく着きましたるは天竺・・・もとい、Ｋさんの実家・・・

私としてはいと有難きものだったが、二人にしてみれば何とも救いのない苦行。

マジですまんかった。

さてでは実家の両親の反応はというと期待を裏切ることなく、あらあらまあまあといった如何にもなリアクションをしてくる。

「あらら、急にどうして帰ってきたとね？」「まあまあお友達？」「あらあら歩いて大宰府行くとね？」

まさにノホホン・・・

一同ゆっくりコーヒーでも頂いていきたい気分となる。がしかし、我々には迫り来る台風という大きな脅威があるため、ここはご挨拶までにということで足早に失礼。

去り際に父の土産の「沖縄のバヤリース」こと、『シークァーサー・ジュース1.5l』（なんだそりゃ）を渡されそうになるが、さすがに1.5Kgの荷物を抱えて歩く自信もなく、後日いただくことに。

さてと、両親にも会ったしこれで心残りなく旅が続けられるってもんだ。さあ！みんな！行こうぜ！ＧＯ！！ＧＯＧＯ！！

・・・・

・・・・ん？？

どしたの？お二人さん？なんか元気ないねぇ？

え？こんな山道歩かせやがって～・・・だって？

あ～～～そっかそっか

はっはっはっは！！

それはマジですまん。

じゃあお詫びといってはなんだから素敵な休憩ポイントを紹介しよう！

ということで、お二人を招待しましたのは、地元では恋人と歩きたい場所ランキング第３位の（適当ですが）この場所。

散歩コースとしては一級の所だと思う。

ぼんやり川辺に佇む２人
如何にも旅人といった趣がある

おまけ画像
『クララが立ったけど別にいいや』

ＡＭ９：３０

ここでひとしきり休憩をする。

会話はあまり覚えてない・・・ひょっとしたらこの時点で皆かなり疲れていたため（俺のせいじゃねぇか・・・）あまり喋ってなかったのかもしれない。

まずい・・・先はまだまだ長いのに、この淀んだ空気。

どうしよう・・・俺のせいかなあ？俺のせいだよなあ・・・

いや～無理言って実家に寄ってもらったのは失敗だったなあ・・・

いや、でもさあ、進行方向にあるもんだったんだから別にそこまで・・・ちょっとその道が登り道だっただけだし・・・

いや・・・でも・・・

と、疑心暗鬼になりながらも、一同はとぼとぼと再出発。

ここから進路にある、目標となりそうな場所は・・・福岡空港か。

めちゃくちゃ遠い・・・。

う～ん、これは辛い道のりになりそうだ・・・。

重い足取りでとぼとぼと進む。

目標地点は遥か彼方。目的地はそのまた彼方。

そこを目指す足取りは重く、その一歩一歩はまるでエスカレーターを逆流しているような気分だった。

「意気投合ゲームしませんか？」

突如として口を開いたのはronさんだった。

「え？」

「あれですよ。ロンブーの番組で、鍋の材料かけてやるやつ。」

「あ～あの何人かでせ～のって言って同じ単語を言うやつ？」

「そうそう。あれやりましょう。」

いいね～ということで、突如として意気投合ゲームが始まる。

ルールとしては、誰かがお題を決めて、そのお題についてお互い何と答えるかを予想し合い、「せ～の！！」でその思いついた単語を言って全員が一致すればＯＫ、というもの。ただし、ヒントとして誰の意見に合わせるか、は相談しても良い。う～ん文字で書いても分かり辛いな・・・

まあ例えばこんな感じということで、最初のお題を例にあげよう。

出題者、Ｋ。

『ハードロックのキングと言えば』

これはあまりに簡単。皆迷わずＫさんに合わせることに。

さすがに暗所メンバーであるａｋｋｋｙは知らぬわけがない。私は彼らの熱烈なファンであることは嫌っちゅうほど聞かされてきたはずである。

ただronさんにとってはちょっと分かりにくいかなあ・・・ホームページでも結構微妙なところにしか書いてないもんなあ・・・。まあでもハードロックのキングといえばヤツらしかいないよなあ！

じゃあみんな！いくよ！！せ～の！！！

ron＆Ｋ「Ｖａｎ　Ｈａｌｅｎ！！」

ａｋｋｋｙ「・・een」

秋本さん？今何と？

ａｋｋｋｙ「Ｑｕｅｅｎ」

僕が秋本君と出会ったのは、2年前の春だった。

初対面の時は、人一倍人見知りする僕を爽やかな笑顔と優しい雰囲気で受け入れてくれた。こいつはそういう懐の深いやつなんだと僕は、今でもそう思う。

それから僕らは毎週毎週、バンドの練習を共にし、共に笑い、共に頑張ってきた。

ライブもやった。成功したときも失敗したときも、共に笑い悔しがった。

そんな僕らの関係を、人は「仲間」と呼ぶのではないだろうか・・・。

ではそんな秋本君にもう一度聞きたい。Ｋの中でハードロックのキングと言えば誰？

ａｋｋｋｙ「え・・・Ｑｕｅｅｎ」

・・・・

と、こんな具合でアハハウフフと一同大盛り上がり。先ほどまでの暗雲はもう漂わなかった。

他にはどんなお題があったろうか・・・「ronさんにとって、キーボーディストと言えば誰？」だとか「ａｋｋｋｙにとって、ボーカリストと言えば？」とかかなあ。

これがまた、案外皆一致しなくて面白い。中でもａｋｋｋｙが主に外し、他人のことなんざ興味ないねという姿勢、その懐の浅さを露呈していたように思える。

一つ、見事にみなの意見が一致したのが、『ａｋｋｋｙにとってのグラビアアイドルＮｏ．１は？』であった。

ロック者よ！君たちは果たしてそれでいいのか？！

社会に対するアンチテーゼを掲げた我が同士よ！

今や君達の心を繋ぐ唯一のものは、小倉優子のみであるか！！？？

ああロック者よ！！

そう、我々はあの時、身振り手振りを加えながら、嬉々として小倉優子の名前を叫んだのであった・・・

まあ答えが一致するにせよ外れるにせよ、いろんな答えが出てきて、ああこいつはあいつの中でこういうイメージなのか、俺はあいつの中でこういうイメージなのか、と実に楽しかった。

お陰で足取りは軽く、気が着けばかなりの距離を進んでいた。

ロンさんがまとめた「意気投合ゲーム」詳細

ＡＭ１０：００　原田東町

ぐおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおお

突如として轟音が鳴り響いた。

そう。何時の間にか我々は空港のそばまで来ていたのである。

いつもは空の遠く彼方を飛ぶ飛行機が、今や手を伸ばせば届くのではないかと思うほど、すぐ近くを飛んでいる。

我々は少年のようにはしゃいだ。

今思うとあの無邪気な喜びようは、歩きつづけた疲労により、我々の成人たる振る舞いをせねばならぬという義務感は失われ、残されたその実に原始的な精神から生まれていたように思える。

つまり、２２歳男性としてあるまじきレベルで大はしゃぎしてしまったわけである。

う～む・・・飛行機見たくらいで・・・今ごろになって恥ずかしい・・・

我々はそこからさらに少し歩いた二叉瀬というところで休憩をし、その後長かった3号線に別れを告げ、一路福岡空港を目指した。

その二叉瀬にての一枚。

手を伸ばせば届きそうなほど
近くを飛んでいく飛行機

⑤乙女心と飛行場

手を伸ばせば届きそうなほど
近くに・・・・