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おぱんぱん



一般的に児童に対して用いられる「男性器」の呼称は「おちんちん」である。
「坊や、おちんちん洗ったの?」などと言うわけである。

それは別に良いのだけれども、では「女性器」の場合、一体我々は子ども達にどう言えば良いのか、という問題について以前友人達と語り合ったことがある。

男性器には「おちんちん」「ちんこ」「ちんぽこ」「ちんぽ」などバラエティに富んだ呼称が用いられているのに、女性器にこのような呼称が存在しないのはおかしいんじゃないか、ということである。

殊に僕は男兄弟の家庭に育ったため、実際に一般家庭では女性器が子どもたちの前でどう呼ばれているのか、全く検討もつかなかった。
そのためこの議論は一見バカらしいようでいて、大変興味深い問題定義だった。

ところで別の機会に同じ話題に触れた際、ある女の子の言葉に大変驚かされた。

「そりゃあ、おちんちんでしょ」

なんでも彼女は両親から「おちんちん洗いなさい」と言われて育ったのだそうだ。

そんな馬鹿な、とその場は大盛り上がりしたのだけれど、意外や意外、後日人が集まっているときにその話題を振ると、なんと半数以上の女性がそれと同様の意見、或いは否定はし切れないといった立場を取ったのであった。

その際分かったのが、その「女児性器おちんちん」説に賛同した女性が、一様に姉妹のみの家庭で育っているということであった。

つまりどうやら、女ばかりの家庭では男女に相違なく「性器」の総称として「おちんちん」という言葉が使われているらしいのだ。

本当だろうか、と甚だ信じがたいところではあるが、実際にそうだったという証言があるのだから仕方がない。



ところで驚いたことに、「おちんちん」に相当する女性器の呼称に関しては、実際に問題となったことがあるそうである。
その際、女の子のあそこをどう呼ぶか、について真剣に議論がなされたのだそうだ。
ギャグのようだが、本当の話である。

そして最終的に一般公募の結果とうとう女性器の呼称はこう決まった。

「おぱんぱん」

なんとも素敵な響きである。おぱんぱん。

枕元に花束と一緒にそっと添えられたおぱんぱん。
恋人から電話で「窓の外を見てごらん」といわれ、言われたとおりにすると、そこには広場一面のおぱんぱん。
君に大事な話があるんだ、と大好きな先輩に校舎の屋上に誘われおぱんぱん。

ぱんぱぱんぱぱおぱぱんぱんぱおぱんぱぱんぱぱぱぱんおんぱんぱん、ぱんお(おぱぱん)、おぱぱんぱんぱんおぱぱぱん…(ぱおぱん)。

そんなおぱんぱんである。

しかし、言葉とは自然と生まれ定着してゆくもの。
この人為的に作られた言葉「おぱんぱん」は、自然発生の「おちんちん」のごとくには定着せず、尻すぼみ的に消滅してしまったのだとか。



僕は結構好きなんだけどな。
おぱんぱん。

ふふふ。



ところでこの文章をmixi日記に書いた際に、「皆さんのご家庭ではいかがだったでしょうか。」と意見を募ったところ、さまざまな意見が寄せられた。 実際に「おちんちん」だったという意見もあれば、別の呼び方をしていたという意見もあった。

その中で最も納得させられた呼ばれ方はこれだった。

曰く「おまた、ではどうでしょうか」

なるほど、目から鱗である。