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ちとした反逆罪じゃの−どこからか飛んできてメニューが表示されていない人はここをクリック

世界は天秤である



幸福という観点から言うと、世界とは大きな天秤のようなものではないかと思う。

例えば1万円を両替機でばらして、小銭だけ財布にしまい、札を全て取り忘れて涙する人がいれば、逆にそれを手に入れホクホクする人がいる、なんてえのは具体的で分かりやすいんじゃないだろうか。

つまりこの天秤の上には運のいいヤツと悪いヤツが両側に分かれて乗っていて、50LL(※ラック・レベル:幸運度を示す単位)を手にする者がいれば、天秤は逆に-50LLな者を作り出し、それによってそのバランスを保とうとしているということだ。

これは、金を落とす拾うといった物質的事象に留まらず、もっと抽象的に、大金持ちがいれば貧しいものがおり、恋人が出来るものがいれば振られるものがいる等といった具合で世界を平行に保とうとしている。

ということは、もし貴方が幸福であれば、そのラック・レベル分の不幸を背負い込むことになる人物、すなわち−LLP(マイナス・ラック・レベル・パーソン:天秤のマイナス部に所属する人を指す)がこの世界のどこかに存在するということになるのである。



その−LLPであるうちの一人が、誰であろう私のバンドでベースを弾いている、網江君だ。



彼の一時の不幸振りというものは凄まじいものがあった。

 ・恋人なし

 ・金なし

 ・周囲からおちょくられる

 ・町を歩けばカツアゲされる

 ・バンドのメンバーからさえ『君』付けで呼ばれる(親しみがない)

 ・フットボール・アワーの岩尾に似ている

など、他にも彼の背負った不幸とは数え切れないほどにある。

そして、最低時のLLは−53850LLであったとさえ推定されている。(当サイト管理人調べ)

これは荷馬車に乗って売られていくドナドナに匹敵するのだから、その不幸振りとは如何に大変なものであったか、お分かりいただけるだろう。



では何故彼は−LLPとして天秤より選ばれ、これほどの不幸を背負うことになってしまったのだろうか。

その答えとして『世の期待』ということを提唱したい。



我々人間の人格形成を担う大きな部分として、周りからの期待、言い換えると先入観・イメージというヤツがある。

「この人はきっとこんな性格のはず」

このようなものは、他人の勝手な思い込みであることもしばしばだが、我々自身結構その思い込みに沿って行動しようとしてしまっているところがあるのではないだろうか。

その証拠として、相手によってその態度をコロコロ変える、という人は少なくないだろう。

これはつまり、相手の先入観に沿ってそのポジションでの人格を形成した結果、場面によって異なる性質が現れてしまっているのである。

この態度を変えるという行為はしばしばネガティブに語られるが、しかし相手の先入観に合わせることでスムーズな人間関係形成を果たせるという目的のための適応・順応といった理由を考えるとそれは決して否定的なものではない。

なんにせよこの周囲からの先入観である『世の期待』に合わせて我々のアイデンティティとは形成されるのである。



では網江君のケースで考えよう。

私を含む周囲の人間は彼に対し「こいつは不幸に違いない」とその身のこなし、イメージのみで先入観を抱いていた。

事実これまでの彼の20数年という人生がどういったものであったかは知る由もないが、とにかく20歳前後であった彼は、まさしく不幸な青年を思わせる雰囲気があったのである。

そして網江君もやはりその先入観に合わせ、カメレオンの如く順応を始める。

するすると肌の色を変え、いとも容易く不幸な青年となる。その結果上記にあるような、様々な不幸を背負い、彼はドナドナクラスの大物−LLPとなったのである。



それによって多くの人間が幸福だった。

彼が不幸な分、その恩恵は多くの人たちに届けられた。

つまり網江君は、彼自身が意図していたかは定かではないが、自らを不幸たらしめることで、世界に平穏を与えていたのである。

彼は立派だった!





しかし2年程前、ある事件が起こった。

彼に恋人が出来たのである。

あの網江君に、可愛らしい彼女なんかが出来たのである。



それによって周囲の人々の考えは大きく揺らぐこととなった。

「こいつはもしかすると不幸ではないかもしれない。」

「こいつは幸せだ」

我々の先入観に合わせて、再び網江君はするすると姿を変えていった。



未だにフット・ボールアワーの岩尾には似ているが、急きょ就職が決まり、ボーナスなんかを貰える金持ちの偉い人になった。ついでに研修中の肉体労働が決めてとなり、ムキムキ筋肉男にもなった。

その結果、おちょくろうものならボコボコにされるということで、誰も彼をおちょくらなくなり、おまけに彼はカツアゲされる側からカツアゲする側へと回ったのである。

メンバーである私たちも、彼のその筋肉が怖くて、これまで通り『網江君』などとは呼べず、専ら『さん』付けで呼ぶようにしている。



つまり、不幸を一心に背負ってきた網江さんは、彼女が出来るという事件を経て、見事なまでの+LLPとなったのである。



これは一見めでたいことのように思える。

しかし問題となるのはここからである。

これまで網江さんは最大−53850LLという莫大な−LLを担いでいたわけだが、急遽+LLPとなった。

つまりここには最低約54000という膨大なLLの移動が起こったわけである。

ここで、天秤が大きく傾かないためには、迅速に−LLPを作り出す必要がある。

その最も手っ取り早い手段として選ばれたのが、我々暗所保存のメンバーである。

とにかく彼が+LLPになって以来、我々に降りかかった不幸というものは筆舌極まるものがあった。

例えばボーカルの秋本君なんかは、肺気胸を患い2週間も入院、あげくに彼の生きがいである歌うことを1月も止められてしまったのだ。

その他にもここには書けないような悲惨な出来事が次々と起きることとなった。

我々に降りかかる不幸の数々より、これまで彼が一身に背負いつづけた−LLの巨大さには驚愕し、また感謝もしたが、しかし全ては網江さんが幸運を手にしたことによって起きているのだから、我々メンバーにとって迷惑この上ない。

だから網江さん、今僕たちはあなたに−LLPであることを期待しています。一刻も早くあの輝かしい栄光の日々を、取り戻してください。



以上を踏まえた上で、幸福という観点において、世界が天秤のようなものであるということが明らかである、ということはお分かりいただけただろう。

そして皆周囲に「不幸そうだ」という先入観を抱かれるのを恐れ、必死になって日々セックスと金儲けに励んでいるのだ、と結論付けたい。





ところで最近、周りの人が私に「不幸だ」「寂しそう」といった類の形容詞を付けたがるのだけど、これは一体どういうことでしょうか。